胸の痛みの種類

胸には、心臓、肺、胸膜、骨、神経、筋肉などいろいろな臓器が存在し、様々な原因が考えられます。

「胸の表面の痛み」はチクチクするような痛みと表現されます。肋骨や筋肉、皮膚など肺よりも外側に存在するものが原因になることが多くあります。代表的なものとして、帯状疱疹やケガ、筋肉の炎症などがあります。

「胸の深いところの痛み」は重大な心臓や血管の病気の可能性があります。代表的なものとして、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、大動脈解離、肺血栓塞栓症など心臓に起因する痛みや食道や胃などの消化器系臓器、胸膜炎など心臓以外の原因のものがあります。

「胸以外の原因による痛み」こころの病気(パニック障害や過換気症候群など)によるものもあります。

胸痛に随伴する緊急性の高い症状

・呼吸困難、嘔吐、意識低下、失神、冷や汗を伴う胸の痛み
・締め付けられるような強い痛みや圧迫感
・背中や胸を移動して裂けるような痛み
・見た目にも苦しそう、ぼーっとしているなどの異変がある

上記の症状を認めるときは、早急に医療機関への受診が必要です。
ご自身での外来受診が困難と感じたときは、救急車を利用しましょう。

※救急車を呼んでも大丈夫か心配な方は「#7119」に相談しましょう。

胸痛の診断

問診が大事になります。

・どのような痛みがあるか(ぎゅーと締め付けられる、抑えられてる、ピリピリなど)
・どの程度の痛みか
・痛みはどのくらい持続したか
・痛みの変化(姿勢や作業など)
・痛みが起こった時の時間帯や状況
・痛み以外の随伴症状の有無(呼吸困難、意識低下、嘔吐、発熱、水疱など)

問診後必要に応じて、検査をしていきます。

身体診察、胸部レントゲン検査、心電図検査、血液検査など行い、必要に応じて、心臓超音波検査、腹部超音波などを行います。心筋梗塞、肺塞栓、大動脈解離など緊急性の高い疾患が疑われる場合は高次医療機関へ紹介させていただきます。

胸痛の治療

原因となる疾患により治療法は異なります。

虚血性心疾患

薬物療法、酸素療法、病態に応じて血液の流れを改善するためにカテーテル治療や冠動脈バイパス手術が行われます。

大動脈解離

病状に応じて内科的治療(安静、血圧管理、リハビリテーション)を行う場合と、外科的治療(ステントグラフト内挿術、上行置換術、弓部大動脈置換術など)を行う場合があります。

肺塞栓

抗血栓療法(内服薬や注射薬で血栓を溶かす)や、カテーテル治療(肺動脈バルーン形成術)・外科手術(肺動脈血栓内膜摘除術)で実際に肺動脈を広げたり、血栓を取り除く治療が行われます。

受診の目安

胸痛の原因となる病気の中には、命に係わる病気も少なくありません。「今まで経験したことがないような痛み」「吐き気や息苦しさも感じる」「冷や汗や脂汗が出るほどの胸痛」「血圧が測定できない」などの症状を認める場合は、早急に病院を受診しましょう。

当院では、循環器専門医が診療を行っています。胸痛の症状がある方は、お気軽に当院にご相談ください。