この胸の症状、もしかして狭心症?
狭心症(きょうしんしょう)は、心臓に栄養を送る血管である「冠動脈」が狭くなり、心臓へ十分な血液を送れなくなる病気です。心臓へ十分な血液が送られないと、心臓は虚血状態になり「胸の痛み」「胸の圧迫感」「胸の締めつけ感」「息苦しさ・息切れ」などの症状が出ます。痛みは胸だけでなく、左肩、あご、背中などへひろがることがあり「放散痛(ほうさんつう)」と呼ばれます。下記のような症状がある方は狭心症が疑われますので一度当院へご相談下さい。
このような症状がある方はご相談下さい
- 胸の痛み
- 胸の圧迫感
- 胸の締めつけ感
- 息苦しさ
- 息切れ
- 胸だけでなく、左肩・あご・背中へひろがる痛み
2種類の狭心症
狭心症は大きく分けて2種類に分類されます。「労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)」と「冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)」です。
労作性狭心症(ろうさせいきょうしんしょう)
労作性狭心症は、冠動脈に「プラーク(脂のゴミのかたまり)」が溜まり、冠動脈が物理的に狭くなることで、血液の流れが悪くなり、心筋が虚血状態となるために胸の症状を生じる病気です。典型的な症状は、運動したときの胸の痛みで、安静にしていると胸の痛みは落ち着きます。平地を歩くよりも、階段を登ったり、坂を登るときに胸の痛みは出やすいです。冠動脈の狭窄が進行すると、より軽い運動で症状が出現するようになったり、安静にしていても症状が改善しにくくなります。
労作性狭心症の特徴
- 階段や坂道を登った時に症状が出る
- 安静にすると症状が改善する
- 安静にしている時に症状が出ることは少ない
- 夜中よりも日中に症状が出やすい
冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう)
冠攣縮性狭心症は、冠動脈が「攣縮(れんしゅく)」することで冠動脈が狭くなり、血液の流れが悪くなり、心筋が虚血状態となるために胸の症状を生じる病気です。胸の症状がない時には、冠動脈の狭窄はありませんが(右図 正常な血管)発作が起こると血管のれん縮により冠動脈が狭くなります。発作が改善すると、再び冠動脈は正常な状態に戻り、血液の流れが改善して胸の症状も消失します。発作は、昼間よりも夜中や明け方に起きやすいとされています。労作性狭心症と違い、安静にしている時に症状が出る点も特徴です。
冠攣縮性狭心症の特徴
- 夜中(寝ている時)に症状が出やすい
- 明け方に症状が出やすい
- 安静にしている時に症状が出やすい
- 運動中に症状は出にくい
狭心症の検査
狭心症の検査には下記の検査があります。当院では、心電図検査、運動負荷心電図検査、血液検査、心エコー検査が可能です。これらの検査で異常がある場合には、さらなる精密検査のためご希望の総合病院、専門病院へご紹介いたします。心筋のダメージを鋭敏に反映するトロポニンIは院内迅速検査で約8分で結果がでます。心電図、心エコー検査も対応が可能です。
- 心電図検査
- 胸部レントゲン検査
- 血液検査
- 運動負荷心電図検査
- 心エコー検査
- 心臓CT検査
- 心臓カテーテル検査
狭心症の治療
狭心症の治療には薬物療法、心臓カテーテル治療、冠動脈バイパス手術があります。これらの治療は、病状に合わせて最適なものが選択されます。心臓カテーテル治療や冠動脈バイパス手術が必要と思われる患者様は総合病院、循環器専門病院へご紹介いたします。
- 薬物療法(飲み薬、貼り薬)
- 心臓カテーテル治療
- 冠動脈バイパス手術
当院は循環器内科専門医が診療にあたっておりますので、心臓カテーテル治療後や冠動脈バイパス術後の薬物療法もかかりつけ医として行っております。病院でこれらの治療を受けられて、現在かかりつけ医がなくお困りの方はぜひご相談下さい。
<参考文献>
・急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版) 日本循環器学会